ぼくの母校である慶應義塾高等学校のカンボジア・スタディツアー引率が、きょうをもって無事終了しました。
慶應義塾大学の未来先導基金のプロジェクトのひとつとして1年前に立ち上がった高大連携スタディツアー。慶應義塾高等学校の生徒16人と教員4名、そしてぼくたち学生団体S.A.L.から3人でカンボジアを訪れ、6日間の日程がさまざまな団体や家庭を訪問してきました。
はじめ2日間、プノンペンでの内容は元代表森島がブログで報告している通りで、全体の統括は6日に現代表の重田が報告する予定ですの。ということでぼくは後3日間、シェムリアップの内容を報告したいと思います。
残念ながら写真がアップロードできないので、様子が気になる方はこちらのページにアップされている写真をぜひご覧ください。
http://twitpic.com/photos/sal_keio
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プノンペンからシェムリアップについたのは3月1日。近年整備が急速に進んでいる一大観光地の綺麗さプノンペンとの違いに、生徒はみんな驚いていました。
初日は休憩がてら、大学生企画のミニ・ツアーを開催。三班に分かれて自由行動です。ぼくの班はせっかくだから生徒にカンボジア名物の乗り物であるトゥクトゥクを味わってもらおうと、ちょっと市内から離れた小さな遺跡に行くことに。
やっぱり、せっかくカンボジアに来たのにでっかい観光バスで自動的に市内を周るだけじゃもったいないと思ったからです。
トゥクトゥクの交渉は生徒にぜんぶ任せました。「値切る」楽しさやドライバーの方との交流の「面白さ」を知ってもらうためです。
トゥクトゥクは開放感があるし、なにせ風が気持ち良い。生徒たちも楽しんでくれました。五感を使ってその国を覚えるっていうのは、ほんとうにたいせつなこと。
ぶらぶら周遊し、無事帰宅。夜はカンボジアの伝統舞踊を見学しながら、おいしいご飯を食べました。
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2日目。かものはしプロジェクトの訪問です。
かものはしプロジェクトは、カンボジアにおける児童売春を防ごうとさまざまな活動をしているNPO団体。ぼくたちはそのかものはしが運営する「ファクトリー」と呼ばれるを見学しました。
貧困層が多い地域に女性専門の織物工場を建設することで、地域に雇用を生み出し、人身売買を未然に防ごうという試みです。
いわゆる社会企業に近いプロジェクトで、ぼくもはじめての訪問だったのですべてが新鮮。かものはしプロジェクトの共同代表の方ともお話をすることができ、「大学二年ではじめた」という言葉にぼくを含めた全員が強い刺激を受けました。
実際にファクトリーで働く女性の家庭も訪問。プノンペンの家庭訪問のときよりも比較的安定した大きなおうちで、ファクトリーでの安定した収入がある程度は生活を支えるきっかけになっているようです。
その後はファクトリーの女性たちとの交流。「Tシャツ交換プロジェクト」を実施しました。女性たちとペアになり、無地のシャツにお互いの国の紹介を描いてそれを交換するという内容。思い出が形に残るし、楽しいし、まさに「交流」ということをしっかりすることができたと感じています。
「日本の紹介ってなにを書けばいいんだろう」と悩む生徒たちと、女性たち。お互いがお互いに伝えたいことを考えて、そして体現するという行為は単純に面白いし、意識的な交流をする事ができる。お互いとって損がなくて、そして刺激になるのかもしれません。
笑顔が溢れる楽しい時間でした。
帰宅後はみんなで輪になってミーティング。いままでの訪問で得た気付きを、みんなで話して行く。プノンペンでも二回やったのですが、いっぱい、思い思いに語り合う生徒たちの視線の鋭さと深さに、自分自身の忘れていた感覚を再起動させることができました。
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最終日、つまり今日はアンコールワットの見学。純粋な冒険気分を味わいながら、カンボジアのよい部分をたっぷり吸収できた気がしています。
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だらだらと報告してしまいましたが、実際かなり内容の濃い3日間でした。プノンペンでのショックが大きかった分、生徒はみんな心を少し落ち着かせて、さまざまな悩みや考えを整理するタイミングにもなっていたようです。
ぼく自身も3度目のカンボジア訪問で、いろいろなことを新たに感じることができました。チェックインの時間が迫っているのでざっくばらんにまとめます。
・1度見たモノが絶対ではないということ。
最初のスタディツアーで見たモノだけがすべてじゃないんだな、ということ。同じ場所でも同じ人でも、一面性しかないものなんてない。すべては多面性を孕んでいて、なんどもなんども繰り返して視野を広げて行くことに、大きな意味があるのかもしれません。
・コミュニケーションのたいせつさ。
現地の方を「見学する」という姿勢でスタディツアーにいくと、得るものは少ないと思います。悪い例えをすれば、それは単に動物園で動物を眺めるのと変わりません。積極的に話しかけたりしながら、相手を笑わせるくらいの勢いで接すること。当たり前だけどなかなかできない、とってもたいせつなことですよね。
・自分ゴトにすること。
現地で感じたことと思ったことを、「遠い国の悲しい現実」に留めるのはもったいないし、意味のないことだと考えています。自分が実際その立場だったらどうするんだろうだとか、日本では貧困はないのかなだとか、日本における平和の意義とか、いろいろ自分に関係させながら得たモノを消化して行くこと。スタディツアーからほんとうに学ぶために、必要不可欠な要素なのかもしれません。
なんだか偉そうになってしまいましたが、これはあくまでぼくの意見です。でも、ぼくはこういうことをたいせつにしながら3度のカンボジア訪問を終えることができ、そこからさらに学んで成長できたと思っています。同時にまだまだだなとも思ったけれども。
なにを感じたかとかは、やっぱりチェックインの時間が迫っているので書き切れません。
でも、ほんとうにほんとうに充実したスタディツアーでした。
続きは6日の重田のブログで。お楽しみに。
では、そろそろ帰国の途へ旅立ちます。おやすみなさい。
【元代表はたちこうた】